遠い昔の思い出
学生時代の山旅
山行日:1965年8月上旬
地 域:南アルプス(北部)
標 高:甲斐駒ヶ岳(2967m) 仙丈ヶ岳(3033m)
【1日目】

(夜行)韮崎駅=竹宇駒ヶ岳神社→笹ノ平→刃渡り→黒戸山→五合目小屋→七丈小屋(泊)
【2日目】

七丈小屋→八合目→甲斐駒ヶ岳→駒津峰→北沢峠→大滝ノ頭→藪沢小屋(泊)
【3日目】

藪沢小屋→大滝ノ頭→小仙丈ヶ岳→仙丈ヶ岳→馬ノ背→丹渓山荘→戸台=伊那市駅

 何とか就職先も決まり、学生最後の夏休み思い出として、南アルプス北部「甲斐駒ヶ岳・仙丈ヶ岳・北岳・間ノ岳・農鳥岳」縦走(5泊6日)を企てたが、 実際には大幅な変更を余儀なくされ、結局、甲斐駒、仙丈のみの山旅となってしまった。


 【 1日目 】

 前夜発の最終列車で新宿駅を出発し韮崎駅へ。韮崎駅からバスに乗り、早朝に宇竹駒ヶ岳神社に着き、神社に参拝して登山の無事を祈る。
 駒ヶ岳神社から、尾白川に架かる吊り橋を渡る。樹林帯の急斜面をジグザグに登る。笹ノ平と呼ばれる平坦地を過ぎ、八丁登りの急坂を喘ぎ喘ぎ登る。
ツガの原生林を抜けると刃渡りの難所である。両側が鋭く切れた露岩を慎重に通過し、ハシゴを登りつめると、石碑、祠が安置されている刀利天狗に出る。 この先は黒戸山を巻くように行くと五合目小屋にでる。
 昼飯を摂っていると、後からきた仙台から来たという学生さんと七丈小屋まで一緒に行くことになる。
ここからは垂直に立ちはだかる屏風岩・不動岩どのハシゴや鎖につかまり、急な岩尾根を登る事2時間余りで今夜の宿七丈小屋に着く。
一緒になった学生さんが食料を持ってこながったと言うことで、米と缶詰を提供する。


 【 2日目 】

 快晴の朝、七丈小屋を出て八合目の鳥居をくぐり、ダケカンバと花崗岩の道を登る。摩利支天と駒津峰への分岐を右に上がると甲斐駒ヶ岳に辿り着く。祠が安置された山頂からは仙丈ヶ岳、北岳、鳳凰三山などが見渡せる。
 仙台から来た学生さんとはここで別れて、駒津峰にむかう。摩利支天寄りに下り、白砂の山腹をトラーバスして六方石に出て駒津峰に着く。 駒津峰から双児山まで展望の良いハイマツ帯の岩稜を下る。樹林帯に入り、つづら折りに下り北沢峠に出る。 北沢峠はシラビソやツガなどの巨木く覆われた静な峠である。
 峠からは直ぐに苦しい登りが始まる樹林帯の道である。二合目を過ぎ、樹林の中をしばらく登ると大滝ノ頭に出る。ここから尾根と別れ、右にトラーバスして今夜の宿藪沢小屋に着く。
暗くなってきたので急いで、手が凍えそうな藪沢の雪解け水で米を洗い、薪ストーブで飯を炊き、味噌汁を作り夕飯にする。

甲斐駒ヶ岳八合目
甲斐駒ヶ岳八合目 [拡大表示]
甲斐駒ヶ岳八合目より北岳
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甲斐駒ヶ岳山頂(後ろは仙丈ヶ岳)
甲斐駒ヶ岳山頂 [拡大表示]
甲斐駒ヶ岳山頂より仙丈ヶ岳
甲斐駒ヶ岳山頂 [拡大表示]
北沢峠より甲斐駒と摩利支天
北沢峠より甲斐駒 [拡大表示]

 【 3日目 】

 今日も快晴である。昨晩炊いておいた冷飯にお湯をかけて食い、早々に小屋を出発する。大滝ノ頭まで戻り小仙丈尾根を登る。
森林限界を過ぎダケカンバが多くなると、やがてハイマツ帯に変わり、展望の良い尾根道となる。ハイマツの道を小仙丈ヶ岳を通り仙丈ヶ岳の山頂に着く。
 大きなケルンのある山頂からは、近くは甲斐駒ヶ岳、鳳凰三山、北岳、間ノ岳、遠くは北アルプス、中央アルプス、八ヶ岳などが見わたすことができる。

当初の計画では、ここから南に尾根を大仙丈岳を通り、途中から両俣小屋に下り、再び北岳に登て間ノ岳、農鳥岳を縦走して奈良田の下りる予定であった。体力も食料も心細くなってきていたので、残念ではあるがここから戸台の下ることを決断する。

 山頂からは仙丈カールの縁を下り馬ノ背を通り、丹渓新道を下って丹渓山荘に出る。丹渓山荘からは戸台バス停まで戸台川沿いの長い道程を3時間ほどかけて歩く。

仙丈ヶ岳山頂
仙丈ヶ岳山頂 [拡大表示]
仙丈ヶ岳山頂より馬の背
仙丈ヶ岳山頂より馬の背 [拡大表示]
仙丈ヶ岳山頂より北岳
仙丈ヶ岳山頂より北岳 [拡大表示]
馬の背より仙丈カール
馬の背より仙丈カール [拡大表示]
馬の背より鳳凰三山
馬の背より鳳凰三山 [拡大表示]

 戸台からバスで高遠を通り、JR飯田線の伊那市駅に着く。伊那市駅から辰野経由で、夜中の12時近くに新宿駅に辿り着くことが出来た。 山小屋を出てから帰り着くまでの長かったこと・・・

計画通り行かなかった山旅であったが、好天に恵まれ、初めての3000m級の山、2座を征服できた事に満足であった。



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